シュティフター作品集第2巻 習作集2

さてシュティフター作品集。昨年末に読んだ第1巻に引き続き第2巻を読了。こちらも4作の短編が収められている。 巻頭の「アプディアス」。この作品は実は発表当時すごく評判になったらしいのだが、この作家としては異色の作品。ユダヤ人を主人公にし、その舞…

ヴェルナー・ヴォルフ ブルックナー 聖なる野人

9曲の交響曲と宗教音楽などを遺したオーストリアの作曲家アントン・ブルックナーについての評伝と作品論を収めた一冊。私はこの作曲家の作品がかなり好きで交響曲の音源を相当数持っていて、ある程度はこの作曲家の生涯や作品の成立の経緯なども知ってはいる…

シュティフター作品集第1巻 習作集1

シュティフターは19世紀のオーストリアの作家。私はこの作家の作品が好きで、先日手に入れた松籟社の「シュティフター作品集」全4巻のうちの第1巻をなんとか年内に読了。 4作の中短編が収められているが、うち2作は以前に読んだものの訳違い。 「コンドル」…

ジョージ・R・R・マーティン 「七王国の騎士」

HBOのTVドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」(原作は「氷と炎の歌」シリーズ)の100年ほど前、ウェスタロスの七王国を舞台に草臥の騎士ダンクとその従者で実は王家の生まれの少年エッグが旅先でさまざまな事件に遭遇するという中編3作を収めた作品集。第1作「…

ドント・ルック・アップ

レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・ローレンス主演、Netflixで公開中の映画。 自らが発見した彗星が地球に激突する事に気づいた女子大生ケイトと担当教授のミンディはそれを警告するために大統領府を訪れるが、中間選挙が近づく大統領はまともに取り…

最近読んだ本

随分放置してしまったのでそろそろなんか書かないと生存を疑われそうなので。最近読んだ本まとめて簡単に書きます。 レオ・ペルッツ「テュルリュパン」 これは実は9月くらいに読んだ本。チェコの作家レオ・ペルッツの作品。17世紀、革命の150年前のフランス…

ゲーム・オブ・スローンズ

米国HBO制作のTVドラマ。全8シーズン73話。 アマプラで2か月以上かかって観終わった。 いやーとんでもないドラマだった。 中世ヨーロッパの文化を持つ架空の大陸ウェスタロス。7つの国の連邦国家「七王国」である。北部にウィンターフェルという拠点を持つス…

内田洋子 モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語

最近全然本が読めてないのはアマプラで「ゲーム・オブ・スローンズ」を毎日観てる全く本を読む時間が全くないからだ。このドラマは本当にすごい。しかし全73話だったか観るのはなかなかハード。とはいえもう50話過ぎた。まあそれは観てしまってから記事にす…

川端裕人 青い海の宇宙港

種子島がモデルの島、「多根島」に宇宙遊学生としてやって来た小学6年生の駆。虫とか自然が大好きであまり宇宙には興味がなかった駆だったが、宇宙オタクの周太、フランス人ハーフの萌奈美、地元の委員長タイプの希実の四人で作った「宇宙探検隊」のメンバー…

HALO

U-NEXTで配信中の、ゲームソフトが原作のSFドラマ。U-NEXTの無料期間を利用して観た。第1シーズン全9話。 宇宙に進出した人類はコヴナントという異星人と戦争状態に。科学力で勝るコヴナントに対し、人類は戦闘に特化した人間であるスパルタンを前線に投入…

梅津時比古 冬の旅‐24の象徴の森へ-

ヴィルヘルム・ミュラーの詩にフランツ・シューベルトが作曲した連作歌曲集「冬の旅」は音楽史に燦然と輝く名作だ。24曲、ぶっ続けで聴いて1時間10分程度の大曲であるが、愛する人に捨てられ真冬の寒空の下あてもなくさまよう青年の絶望を24曲を通じて描いた…

Star Trek : Strange New Worlds 第9話、第10話

第9話「All Those Who Wander」直訳すると「すべてのさまよう人々」。タイトル的には「さまよい人たち」というところか。 士官候補生のウフーラら3名は一旦任務を解かれ地球に戻ることになるが、その前に行方不明になったUSSペレグリンを発見したエンタープ…

Star Trek : Strange New Worlds 第7話、第8話

第7話「Serene Squall」。エンタープライズは海賊に襲われたコロニーにドクター・アスペンの水先案内で訪れ、海賊船Serene Squallを発見、制圧に向かうが逆にエンタープライズを占拠されてしまう。スポックとチャペルは最後まで抵抗するが捕まってしまい、海…

三秋縋 君の話

2018年に単行本で出た時少し気になったのだのが、なかなか買う気にはなれずにいたらいつのまにか文庫化されていたので購入して読んでみた。 記憶を自由に操作できる世界。そんな世界で無為な人生を送ってきた主人公の青年千尋はある日なにもいいことがなかっ…

Star Trek : Strange New Worlds 第5話、第6話

第5話「Spock Amok」うーん翻訳不能(笑)タイトルについては後述。 ゴーンとの戦いで傷ついたエンタープライズは修理と乗組員の休養を兼ねてスターベース1に寄港。チャペル、オルテガらクルーたちは遊びに出かけるが、パイクはロンゴビアンという宇宙人と交…

伴名練 なめらかな世界と、その敵

2019年だったかに単行本が出て話題になった日本SFの新星による6作収録の短編集。今回文庫化されていたので購入して読んでみた。 作者は1988年生まれだから私より一世代下。まず巻頭に置かれた表題作「なめらかな世界と、その敵」の冒頭でその異常で錯綜した…

シン・ウルトラマン

「エヴァンゲリオン」の庵野秀明による話題の映画「シン・ウルトラマン」を観てきた。 日本に次々と禍威獣と呼称される巨大生物が出現、政府は禍威獣対策のための専任機関機関、禍威獣特設対策室、通称「禍特対(カトクタイ)」を組織してこれに対処していた…

Star Trek : Strange New Worlds 第4話

第4話。Memento Mori「メメント・モリ」 エアフィルターを届けるためにフィニバス3という惑星を訪れたエンタープライズ。しかし惑星は何者かの攻撃を受けていた。生存者を救出するが、ラ・アンはモンスターに襲われたという生存者の少女の証言から襲って来た…

ジャック・ヴァンス 「冒険の惑星」四部作

ジャック・ヴァンスの「冒険の惑星」4部作を読んだ。 これは原題では「Planet of Adventure」という、ヴァンスの作品としては珍しい書下ろしシリーズとして1968年から1970年にかけて出版されたもので、日本では主人公の名をとって「アダム・リース」シリー…

Star Trek : Strange New Worlds 第2話、第3話

第2話 Children of the Comet 訳せば「彗星の子どもたち」というところかな。 M型惑星で原始的な文明が存在しながら砂漠ばかりの星、ペルセボネ3に彗星が激突することが判明。これを阻止しようと光子魚雷を撃ち込むエンタープライズ。しかし彗星にはなぜかシ…

スタニスワフ・レム マゼラン雲

レムの初期の作品で、著者の意向でこれまで翻訳を許されなかったいわくつきの作品。 2段抜きで450ページにわたるかなりの大部で読むのに相当時間がかかった。 32世紀。人類は巨大宇宙船ゲア号でアルファ・ケンタウリを目指す片道10年の探査に出る。医師の父…

Star Trek : Strange New Worlds 第1話

さて5月5日から米国で配信開始になった「スタートレック ストレンジ・ニュー・ワールド」だが、依然として日本での配信・放送の目途が立っていない状況が続いている。要するに日本のファンは普通の方法では観ることができないのだが、どうしても観たいとい…

スタートレック・ピカード

「スタートレック・ピカード」はあのピカード艦長のその後を描くシリーズ。先日第2シーズンの配信が終了した。第1シーズンは人口生命体をめぐる話で、話自体も地味だったし、なによりこれまでと違う倫理観の欠如した連邦の態度に疑問があり、正直不満だった…

雪国 Snow Country

先日NHK-BSで放送された、川端康成の名作小説「雪国」を高橋一生、奈緒主演でドラマ化した映像作品。 「雪国」は川端の作品としては「伊豆の踊子」に次ぐような回数で、何度となく映画やドラマで映像化されているのだが、どれも全く観たことがなかった。「伊…

ボクらはみんな大人になれなかった

2021年劇場及びNetflixにて公開された邦画。原作は「燃え殻」というペンネームの作家による同名の小説。森義仁監督、森山未來、伊藤沙莉主演。 TV番組で使うフリップやCGを制作する会社に勤めている40代の男性・佐藤。ある日facebookの「友達かも」に昔の恋…

レイモン・クノー 地下鉄のザジ

レイモン・クノーの代表作「地下鉄のザジ」を、白水社レイモン・クノー・コレクションの久保昭博による翻訳版にて読了。 ザジという10歳くらい(?)の女の子がパリに住む叔父のガブリエルに預かられることになってやってくる。ザジはパリで地下鉄に乗ること…

アナトール・フランス 聖女クララの泉

白水社「アナトール・フランス小説集」の第8巻。この作家お得意の、宗教にまつわる短編を集めた作品集。 冒頭に置かれた「神父アドネ・ドニ」で、ここに収められた短編が「聖女クララの泉」のほとりで神父アドネ・ドニによって語られたものを書き留めたもの…

中村真一郎 秋

中村真一郎の「四季」四部作の第3作。私は第1作「四季」を2008年に、「夏」を2014年に読んでいて、今回ようやく第3作を読むに至ったわけだ。前2作の記憶も曖昧ななか読み進めると、前作では語り手である「私」の、自殺同然に亡くなった妻のことに触れながら…

ユヴァル・ノア・ハラリ 21Lessons

ベストセラーとなった「サピエンス全史」「ホモ・デウス」の著者で、イスラエルの歴史学者・哲学者の著者が、現代人と現代社会の直面する問題について、どのように思考し行動すべきかを語った著作。原著は2018年出版。本文だけで500ページの大著だが大変興味…

ウエスト・サイド・ストーリー

あの名作映画「ウエストサイド物語」をスピルバーグがリメイクした作品。 旧作は私が大好きな映画で、「冒険者たち」などと並んでこれまで見た映画の中で最も好きな映画のひとつである。当然そうなるとリメイク作に対する評価は辛くなるわけだが、しかしこれ…