小川一水 天冥の標Ⅲ アウレーリア一統

第3巻は第2巻から一気に300年ほど後の時代へと進む。24世紀、人類は宇宙に進出し小惑星帯に無数のコロニー国家を形成していた。2310年、小惑星国家ノイジーラント大主教国の宇宙軍、強襲砲艦エスレルの艦長アダムス・アウレーリアは海賊を掃討する任務の途中、救世群の人々が住む小惑星エウレカを訪れ、彼らが奪われたブツを奪い返すべく海賊を追う事になる。どうやら数十年前に木星で発見されたがその後行方不明になった、異星人の遺物ともいわれる謎の物体「ドロテア・ワット」に関する情報のようだ。アダムスは「医師団(リエゾン・ドクター)」のジュノ・セアキという男と共に、ドロテア・ワットを巡って海賊たちと対決することになる… という、今回はスペースオペラ

前の巻と全く違う面白さ。宇宙での会戦も非常によく考えてあって、例えば宇宙船の挙動などかなり理にかなっていてリアルな描写が展開する。「空気いらず」の面々は電気で呼吸(?)するので、宇宙服なしで船外活動ができるというのはなかなか斬新な設定なのだが、宇宙空間の放射線はどうやって防ぐのだろうか。そこだけはちょっと気になった。救世群はドロテア・ワットを手に入れて何をする気だったのか、その辺も後々のお話に繋がりそうだ。

第2巻で「救世群」の、第3巻で「空気いらず」の来歴を描いたわけで、この流れで行くと第1巻で登場してきた各陣営の由来をそれぞれ明らかにして行く感じなのだろうか?アウレーリアやセアキといった第1巻での重要人物の名前も出てきた。でもまだ第1巻の時代の500年も前なんだけど...