ニール・ドグラース・タイソン 人生が変わる宇宙講座

著者のニール・ドグラース・タイソンはカール・セーガンの後継者とも目される天体物理学博士。これはそのタイソン氏が一般の人にわかりやすく書いた宇宙論の本だ。

私はSFファンという前に宇宙ファンで、そういった書物をいろいろと読んでみたいのだが悲しいかな文系で数式とか大の苦手で、ページを開いたとたん目に飛び込んでくる数式に恐れをなしてとても読めそうにない(笑)。でも天文学ってほぼイコールで物理学なので数式なしで深くを語るのは難しいということもわかる。

ここでは宇宙に関する様々な知見を全く数式なしで分かりやすく述べてあって非常にわかりやすい。正直私にはちょっと物足りなかったのだけど、宇宙に興味があって、ビッグバンやダークマターについて興味があるけど数式はどうも苦手という人にはおススメの一冊だ。そういった内容がかなり砕けた文章で語られるのでとても読みやすい。当然それぞれの記載はそれほど深掘りされたものではないので、これで興味を持ったらさらに専門的な書物に進めばいいと思う。

最終章の「宇宙的視野をもつことについて」がいい。ここでは宇宙論は全くなしで、宇宙の事を考えることが読者の世界を広げることを説いている。まさしくその通りで、目の前のことに汲々として日々を送りがちな我々だからこそ、何か大きな視点で世界を眺めてみることは大事なことだと思う。