LUPIN / ルパン

NETFLIXで配信されたオマール・シー主演のフランスのドラマ。全10話で一貫したストーリーの作品なのだがなぜか前半5話が1月に、後半の5話が先日公開された。1月に前半5話が公開されたときに観たのだが、「え!そこで『続く』⁉」という感じの幕切れだったので、半年待たされての後半を見るにあたって前半5話もう一度観ないといかんかなと思いながらも見始めたら面白くて一気に後半5話見てしまった。

主人公アサンはアルセーヌ・ルパンに心酔する男性。少年のころ富豪ペレグリーニの運転手だった父がペレグリーニの所持するマリー・アントワネットの首飾りを盗んだとされ獄死している。アサンは父がペレグリーニに嵌められたと信じ復讐を誓う。巨大な権力とつながりを持ち警察すら動かしてしまうペレグリーニにアサンはどうやって挑むのか、とまあそういった物語。

アサンとペレグリーニの攻防のスリリングさ、視聴者をもあっと言わせるトリック(特に最終回の、あのキャラが味方だったというのはマジ驚いた)など見どころも豊富だし、全編ほとんどをパリ市街でのロケで4K撮影された美しい映像が素晴らしい。所々でアサンの少年時代の映像が挟まれ、過去と現在を行ったり来たりする構成が苦手な人もいるとは思うが、それも現在のアサンの行動とリンクするのでわかりにくくはないと思う。

なんといってもオマール・シーが演じるアサンがいい。存在感も体格もでかすぎて変装とかできそうにない気はするし、彼のやってることは最終的には正義のためとはいえ、盗みをやったり犯罪に違いない。でも基本的に善良で家族思いなアサンに視聴者は感情移入しやすいし、最終的にどんなピンチも切り抜けてしまう安心感みたいなものがある。そのへんが支持されたのかNETFLIXの今年公開のドラマでも全世界で再生数2位というヒット作になっているそうだ。

わきを固める俳優もオールフランス勢であまり有名な俳優さんはいないようだがみなリアルで生き生きとしたキャラクターになっていて魅力的。

オリジナルのモーリス・ルブラン著のアルセーヌ・ルパンシリーズの、「女王の首飾り」「金髪の美女」「ユダヤのランプ」といった要素が物語の各所に配置されている(と思しき)ところもさすが本場、と思わせる。日本では「ルパン」というとモンキー・パンチ原作のアニメ「ルパン三世」のイメージ強いと思うが、私はあれが大嫌い。この作品に比べたらあれって全然「ルパン」じゃないと思ってしまう。