2023-01-01から1年間の記事一覧

ル・クレジオ アルマ

傑作「黄金探索者」を皮切りに「隔離の島」「回帰」と続いてきたノーベル賞作家ジャン=マリ・ギュスターヴ・ル・クレジオのモーリシャス島シリーズ。今回も「黄金探索者」「隔離の島」と同じ中地義和氏の名訳で。 絶滅した鳥ドードーについて調べるという名…

ストルガツキー そろそろ登れカタツムリ

ストルガツキーの「そろそろ登れカタツムリ」を再読。 これは主人公が違う「カンジート編」と「ペーレツ編」の二つの部分からなる作品で、1966年に「カンジート編」が最初に発表された。その後「ペーレツ編」が発表されるとソ連政府に発禁処分に。発表した雑…

スタニスワフ・レム 火星からの来訪者

国書刊行会のレムコレクション第2期、第4巻はレムのSF作家としての事実上のデビュー作である中編「火星からの来訪者」に初期の短編4作、さらに若い日の詩作をまとめた「青春詩集」を収録した一冊。 表題作は、火星からやってきた謎のロボット、アレアントロ…

ストルガツキー リットル・マン

ストルガツキーの「Noon Universe」の一作で1971年の作品。日本では英語版よりも早い1973年に深見弾氏の訳で「ソヴェート文学」という雑誌に掲載されたが、その後は全く出版されていない幻に近い作品。今回掲載雑誌が手に入ったので読んでみた。 「Noon Univ…

マーガレット・ミッチェル 風と共に去りぬ

ヴィヴィアン・リーとクラーク・ゲーブルが主演したあの有名映画の原作小説。文庫本で4~5冊の分量を持つ長大な作品。私はかなり昔の「河出書房世界文学全集」で一か月かけて読んだ。 全くもってすごい小説だ。ヒロイン、スカーレットと相手役のレットという…

ジャンニ・ロダーリ うそつき王国とジェルソミーノ

講談社文庫でイタリアの作家ロダーリの作品が、これまで3冊の短編集が出版されているのだが、4冊目は200ページほどの長編「うそつき王国とジェルソミーノ」。これまでの3冊は内田洋子さんの翻訳だったが、今回は山田香苗さんの翻訳に変更になっている。 大…

シュティフター作品集第2巻 習作集2

さてシュティフター作品集。昨年末に読んだ第1巻に引き続き第2巻を読了。こちらも4作の短編が収められている。 巻頭の「アプディアス」。この作品は実は発表当時すごく評判になったらしいのだが、この作家としては異色の作品。ユダヤ人を主人公にし、その舞…

ヴェルナー・ヴォルフ ブルックナー 聖なる野人

9曲の交響曲と宗教音楽などを遺したオーストリアの作曲家アントン・ブルックナーについての評伝と作品論を収めた一冊。私はこの作曲家の作品がかなり好きで交響曲の音源を相当数持っていて、ある程度はこの作曲家の生涯や作品の成立の経緯なども知ってはいる…