ゲーム・オブ・スローンズ

米国HBO制作のTVドラマ。全8シーズン73話。

アマプラで2か月以上かかって観終わった。 いやーとんでもないドラマだった。

中世ヨーロッパの文化を持つ架空の大陸ウェスタロス。7つの国の連邦国家七王国」である。北部にウィンターフェルという拠点を持つスターク家が物語の中心のひとつだ。このウィンターフェルの主ネッド・スタークを訪ねて七王国の王でネッドの旧友でもあるロバート・バラシオンが訪ねてくる。ロバートの妻で王妃のサーセイは七王国一の金持ちのラニスター家の娘ですでに三人の子供がいるが、実はこの子だもたちはロバートの子ではなくサーセイの双子の弟ジェイミーの子だった。

一方海を隔てた南の大陸エッソスでは、17年前にロバートやネッドらによって倒された竜の血族ターガリエン家の娘デナーリスが兄ヴィーセーリスによって蛮族ドスラク人の王ドロゴに売られようとしていた…

ネッドはショーン・ビーンが演じていて、これもう彼が全編の主人公だと思って観ていたら、なんと第1シーズンで殺されてしまう。その後北方の脅威やスターク家の子供たち、ラニスター家の末の息子で侏儒のティリオン、ロバートの弟たちの陣営など物語が細々と分岐していく。5~6個のストーリーが同時進行で進んで行き、登場人物は次々に死亡して(というか殺されて)行く。

終盤ではこれら点在するストーリーが徐々に収束して行く。 当初悪の権化のようだったジェイミーがブライエニーと旅したことで段々人間的になって行ったり、逆に最終的に悪を駆逐し世界を良くするヒロインだと思われたデナーリスが闇落ちする展開に驚かされる。デナーリスの闇落ちについてはかなり批判されたのだそうだ。

ウェスタロスはあきらかに英国がモデルなのだが、南部のドーンはイタリアか南仏みたいな感じで描かれているように各地の風物も細かく描きこまれ大変よくできたドラマだった。ゾンビやドラゴンも出てきてファンタジーの部分もあるが、大筋では史劇で、英国の歴史を勉強したらもっと面白く観れるのかもしれない。一方ドラゴンは圧倒的な力を持っている最終兵器的な扱いで、ドラゴンの力を拠り所にデナーリスは力をつけていく。

最初はエッソス大陸で奴隷解放に力を注いだデナーリスだったが、彼女の最終的な目標はロバートと息子たち亡き後女王の座に収まった極悪のサーセイを倒して、17年前に父が失ったウェスタロスの王座奪還。戦いのうちに自分の子供のようにかわいがっていたドラゴンのうち2頭を失い、さらにミッサンディやジョラーといった信頼できる友人や部下を失ったこともあったにせよ、彼女が自分のやっていることが正義と思い込んで暴走してしまうというのは現代の国家や企業でもありがちなことで、露のプーチンなんかも同じだと思う。そうなるとジョンがそうしたように誰か身近な者が刺すしかない。そういう意味でも彼女の闇落ちは決して唐突ではなく、私としては納得して観た。

ちなみに現在「ゲーム・オブ・スローンズ」の200年ほど前の世界を描く前日譚スピンオフ「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」がU-NEXTで順次配信中。そっちはまだ始まったばかりだけど登場人物全員が悪い奴で結構地味に面白い。