スタートレック・ピカード

スタートレックピカード」はあのピカード艦長のその後を描くシリーズ。先日第2シーズンの配信が終了した。第1シーズンは人口生命体をめぐる話で、話自体も地味だったし、なによりこれまでと違う倫理観の欠如した連邦の態度に疑問があり、正直不満だった。

今回の第2シーズンではQが登場、ピカードらは歴史が改変された世界に飛ばされてしまう。この歴史改変を是正するためにボーグ・クィーンの力を借りて2024年の地球を訪れたピカードたちだったが…というお話。

正直かなり面白かったのだが、全10話のTVシリーズにするには内容的にちょっと無理があったかな。FBIに拘束されるなどどう考えても不要なシーンが多かったし、同性愛的な要素をわざわざ入れる必要があったのだろうか。もっと刈り込んで2時間の映画でよかったと思う。それでもいろいろと「そう来たか!」と思わせる展開があって楽しかった。

さてこのシリーズで一番問題になるのは、ラスト近くでピカードの仲間の一人、アグネス・ジュラティ博士がボーグ・クィーンと融合してしまう。そしてラストでは、冒頭で侵略に来たと思われたボーグが実はほかの巨大な脅威に対してアグネスの意図で連邦に協力を求めていたことが明かされる所だと思うのだが、そうするとこれまでのシリーズで再三描かれてきたボーグの行動にはすべてアグネスの意図が働いていたと考えなければいけなくなる。TNG「浮遊機械都市ボーグ」でのピカードの同化が意外とあっさり解けたこと、映画「ファースト・コンタクト」で地球に落ちたボーグがENT「覚醒する恐怖」でも意外と簡単に撃退されたことは以前から疑問だったのだが、アグネスがそうしむけていたと考えれば納得がいくし、そのほかの、セブンがヴォイジャーに派遣されたことなどなにもかもがアグネスの意図が働いてのことだったと考えるととても興味深い。ボーグ関係のエピソードを全部見直してみたくなる。

厳密に考えると、それではあのパラレルワールド専制的な銀河帝国に囚われていたボーグ・クィーンは一体どこから来たのか(歴史の改変による分岐はアグネスとクィーンの融合以降に起こっているはず)など矛盾もあるが、まあそれはそれ笑笑。

それにしてもパトリック・スチュワート御歳81歳だそうで流石に老けた。第3シーズンで完結らしいが無事に演じて欲しいものだ。

ところでスタートレック関係は現在いろいろと問題が起きている。米国では「パラマウント+」という配信サービスが始まって、すべてのスタートレック関係の映像はここで配信しているらしいのだが、これに伴ってこれまで米国以外の国でNetflixで配信していたものがすべて配信停止になってしまった。このため現在日本では最新の第4シーズンはもとより従前の3シーズンを含めた「ディスカバリー」と5月に始まった「Strange New Worlds」が配信されていない。スタートレックの新作では、現在はAmazon Primeで配信されていたこの「ピカード」とアニメシリーズ「ローワー・デッキ」だけが観れる状態だ。特に「Strange New Worlds」は期待大のぜひ見たい作品。何とか早く観れるようにしてほしいものだ。