ローレン・ローズ これだけは見ておきたい 世界のお墓199選

国書刊行会のHPで見かけて、これ面白そうと思ったんだけど高額でとても買えない。というわけで図書館から借りてきて10日余りかかってやっと読み終わった。

これは世界中の199の墓地についてそれぞれ最低一枚の写真とその墓地にまつわる興味深いエピソードが語られている本である。紹介されている199の墓地のうち約半数が米国にある墓地で、やや偏った感があるのと、この本の構成自体が大陸ごとになっているので本の前半がすべて米国の墓地について書かれた部分ということになり、そこはちょっと読みにくい気はしたが、それでも十分面白く興味深い一冊だ。

それぞれの文章は簡潔だがかなり内容が濃いのだが、紹介された墓地にある個々の特徴あるお墓については文章で紹介されていながら写真のないものも多く、そこはちょっと不満が残るが、限られた紙面で構成せざるを得ない「書物」にそこまで求めるのはちょっと無理があるか。 そこでつい登場する人名や彫刻の写真などをネットで調べたくなってしまう。そんなこんなでとても読むのに時間がかかった。

宗教や文化による墓地というものに対する考え方の違いがとても興味深い。墓地を整備して公園にしてしまうのはキリスト教の発想で、東洋やイスラム圏などの有名な墓地は(遺跡的なものを除けば)ほとんどキリスト教由来なのだ。巻末の翻訳者による解説を読むと、イスラムでは偶像崇拝にあたるのでそもそも墓というもの自体の文化がないということが書いてあって驚いた。そういわれてみればそうだ。亡くなった人の供養という概念も仏教だけのものらしい。いや〜目からウロコだわ。

それにしても図書館から借りて2週間以内に読むというのには向かない本だった。手元に置いてじっくり読みたい本だった。高い(税込み7480円)からちょっと無理だけど。