ゴジラS.P<シンギュラポイント>

NETFLIXで公開されていたゴジラの新作アニメ全13話。SPは「シンギュラリティ・ポイント」すなわち「特異点」の意。

逃尾町という田舎町の「ミサキオク」という施設で異常な電波の発信が起きて顧問の教授の代理として呼ばれた研究員の神野銘。同じ施設の電気設備を以前整備した会社「オオタキファクトリー」のエンジニア有川ユン。この二人が主人公なのだが、なんとこの二人最終回のエンディング曲の直前まで顔を合わせない。

物語はミサキオクから発信された電波をきっかけに翼竜タイプの小型怪獣ラドンが出現。ラドンが振りまく赤い塵芥「紅塵」がたちこめると、その後さまざまな怪獣が世界各地に現れ始める。ユンはオオタキファクトリーが作っていたロボット「ジェットジャガー」で怪獣に立ち向かう。一方ユンのプログラムからAIアシスタント「ペロツー」を得た銘は多次元物質「アーキタイプ」の研究で世界的権威李博士に指名されドバイへ。

これ構成・脚本が円城塔ということでまあそりゃ一筋縄ではいかない。前述の主人公二人が最後まで顔を合わせないというのもそうだが、いろんな点でアニメの常識を守らず、重要人物だった李博士が死んでもそのリアクションなど全く描かなかったのが代表的だがその他ありがちな恋愛模様などの人間ドラマなど皆無。とにかく登場人物たちが謎に立ち向かうばかり。その謎もアーキタイプ・紅塵・怪獣の関係やオーゴソナル・ダイアゴナライザーなど、それがどういったものなのかもはっきりとは説明されない。しかしそんなことはともかく、ゴジラをなかなか見せてくれなかったりじりじりしながらも全13話とても面白かった。

ゴジラのアニメといえば「怪獣惑星」を皮切りに2017年から公開された3部作が思い出されるが、あれが正直クソつまんなかったので今作も期待していなかったのだが、これはおススメ。怪獣プロレスを期待しちゃダメだけど。