リュドミラ・ウリツカヤ ソーネチカ

ソビエト連邦時代を背景に、本の虫で容貌のぱっとしないソーネチカの一生を描いた作品。はっきり書いてはないがソーネチカは1920年前後の生まれのユダヤ系ロシア人だ。図書館に勤めていたある日、パリ帰りの反体制画家ロベルトと出会い結婚する。その後娘ターニャが生まれ、ソーネチカ一家は貧しいながらもつつましく生活する。やがて娘も成長したある日、成り行きで娘の友人ヤーシャを家に置くことになるが、そのヤーシャと夫がいい仲になってしまう。
 
うーん、なんと言ったらいいのだろう。自分の境遇にどんな時でも幸せを見出すと言うと「ポリアンナ」みたいなポジティブなものを連想するが、ソーネチカのはそんなポジティブなものとは全く違うように思う。結果的に幸福になったように思える(それも夫の葬式を個展に仕立て上げる策が当たった)し、その後実の娘とは疎遠になり、夫を寝取ったはずのヤーシャとは実の娘みたいに親しくするという、なんだかなな幕切れ。そして老いてまた本の虫に戻っているというのはなんとも寂しくないだろうか。それで良かったのかという疑念がどうしても拭えない。ひと昔前の封建的な時代なら日本でもこういう考え方の女性がいても不思議ではないとも思えるが...女性ならどう読むのだろうか。
 
AMAZONのレビューを見ると結構評価が高い。う~ん。なぜそうなるのだろうか。よくわからない。