スター・ウォーズ エピソードⅨ スカイウォーカーの夜明け

スター・ウォーズシリーズ第9作。「レイ三部作」の最終作に当たり、現状ではシリーズ全体の最終作でもある。

前作「最後のジェダイ」がSWオタたちに酷評されたこともあって今回はごくオーソドックスな仕上がり。誰が見てもまあ満足なのではないだろうか。ただ全体にはエピソードⅥ「ジェダイの帰還」のクリシェに陥った感はある。

ちなみに私自身は「最後のジェダイ」は決して嫌いではない。あの映画を酷評する人たちの意見では、高潔なジェダイとして旧三部作を終えたはずのルークが無気力に陥っていて敵前逃亡さらながに隠棲していることが許せないという声が多かったが、シリーズ最初を振り返ればルークは結構適当な青年だ。ルークは「ジェダイの帰還」の時は義務感と勢いで英雄的な行動をとったし、最後には父が彼の思っていた通り善の心をまだ持っていて皇帝を倒すことができた。そこには彼の信念がくじけるようなことは起きていない。だがベンの反抗は彼の信念をくじくに十分な出来事で、これで心がくじけてもおかしくないと思う。そういう、ルークですらそんな心の弱さを持っているという事と同時に、辺境の惑星の名もなき少年でもフォースの力を持っていることを示した作品だった。その他にもアジア系不美人のヒロイン・ローズの活躍などもある意味革新的な作品で、まあ作劇上レイとポーがラストまで出会わないなど問題はあったと思うが、決して全体に悪い作品だとは思わない。

今回のレイ三部作が、行き当たりばったりに作られているという声もある。いやいや旧三部作だって相当行き当たりばったりだと思う。だって「新たなる希望」を制作した当初からダース・ベイダーがルークとレイアの父だとわかっていたら、レイアとベイダーを直接会わせたりしない(ベイダーがレイアが自分の子だとわからないはずがない)はずだし、なによりラーズ夫妻はルークにスカイウォーカーを名乗らせるはずがないではないか。だから「行き当たりばったり」はSW作品である以上批判すべきではない。

まあそんな前作を受けて今作は、前作が嫌いな人にも納得いくようにうまく作ってある。だから突然のパルパティーン皇帝の再登場や、いきなり大軍勢のファイナルオーダーの出現、レイたちの作戦に与えられた時間が17時間?というのはちょっと短すぎだろうし、カイロ・レンが意外とあっさり改心しちゃったりとかご都合主義的な部分は多々あるのだが十分面白く納得のいく作品だったと思う。だが前作で見せたこれまでの作品の殻をぶち破るような部分はほとんどなく、ローズもあんまり活躍しなかったのは残念。前作の公開後亡くなったキャリー・フィッシャーは前々作、前作で撮影されながら本編で使用されなかった映像から出演して全く違和感なし。最後にレイがスカイウォーカーを名乗るのも、血筋よりも大事なものがあることを訴えているように思える。そしてラストのタトゥーインの夕陽には誰もが感動するだろう。

残念ながら、レイ三部作は全体に旧三部作の繰り返しだったように思う。「フォースの覚醒」は「新たなる希望」をそのままトレースしているし、今回の「スカイウォーカーの夜明け」も「ジェダイの帰還」に非常に似ている。「最後のジェダイ」が「帝国の逆襲」とは全然違う方向だっただけにほかの行き方があったと思う。そういう意味ではもったいないと思ったのが素直な感想だ。