ブロウアップ・ヒデキ

一周忌を迎えた西城秀樹の1975年のライブ「ブロウアップ・ヒデキ」の模様を収めたライヴ&ドキュメンタリー映画WOWOWで放送されていたので観た。1975年というと西城秀樹が20歳の時で、前年に「傷だらけのローラ」をヒットさせていて、今、彼の代表作として曲名が最初に思い浮かぶであろう「YMCA」や「ブルースカイブルー」などは当然ながらまだ世に出ていない。

この時彼は日本縦断ライヴと称して富士山麓の特設ステージを皮切りに日本全国を回り、ラストは大阪球場でのライブだったらしい。75年に球場でライブというのはかなり斬新だったのではないだろうか。ライヴの内容も、富士の特設ステージではゴンドラをクレーンで吊って歌ったり現在のジャニーズのライヴに通じる演出もある。イヤーモニターという物がなかった時代なのででかいオーバーヘッドのヘッドフォンをして歌っているのにはさすがに古さを感じるが、現代のアイドルのライヴの原点がこれなのだ。当時は十代の女の子がライヴに足を運ぶこと自体今に比べると相当敷居が高かったはず。それで球場を埋め尽くすほどの観客を動員したのだからすごい。

インタービュー部分も若いヒデキの歌に対する真摯さが伝わって興味深いし、もちろん音楽もローリングストーンズの「悲しみのアンジー」を英語で歌ったり、「傷だらけのローラ」の一部フランス語ヴァージョンがあったりと非常に興味深い。

しかし何より、これを映画として撮影した当時のスタッフに敬意を表する。これはヒデキファンにとっては宝物だし、その時代の風物を映し出すという意味でも、アイドルのライヴの原点という意味でも映像資料としてとても貴重なものだと思う。