韓国ドラマ アルハンブラ宮殿の思い出

NETFLIXで独占配信されていたヒョンビンパク・シネ主演の韓国ドラマ。全16話。韓国での放送とほぼ同時に配信されていたらしいのだが、日韓関係の悪化も何のその、いまだにおばさまたちに絶大な人気の韓国ドラマの話題作が、なぜ普通にTV放送ではなくNETFLIXでの配信なのか疑問に思うむきもあるだろうが、内容を見て納得。

投資会社ジェイワンの代表ユ・ジヌは17歳の青年セジュの開発したAR(拡張現実)ゲームの権利を得ようとしている。セジュにそこで待つように言われスペイン・グラナダユースホステルを訪ねるがセジュは現れない。セジュの開発したゲームをプレイしてそのあまりの素晴らしさに驚嘆したジヌだったが、妻を寝取られてしまったという過去のある個人的にも仕事上もライバルのヒョンソクもこのゲームをプレイして権利を狙っていた。ジヌはセジュの姉でホステルの経営者のヒジュからホステルの建物ごと権利を買い取る。その後ゲーム上でヒョンソクと決闘し勝利したジヌだったが、翌朝ヒョンソクは遺体となって発見される。ジヌはその後、なぜかNPCになった血まみれのヒョンソクの亡霊に襲われるようになるのだが、ゲームのキャラにすぎないはずのヒョンソクの攻撃を受けると激しい痛みがジヌを襲うのだった…

これは韓国ドラマと聞いておばさまたちが連想する普通の恋愛ドラマではない。もちろんそういう要素はあるのだが、この作品は基本的にサイバーパンクSFミステリ。なのでおばさまたちよりも若い人向けの作品だと思う。そういう点でNETFLIXでの公開は正解なのかもしれない。というわけでSFファン的な視点から。

前半はスペインロケで美しいグラナダの街を舞台に徐々に深刻な方向へ進んでいくSFミステリになっていてかなり面白かったのだが、そこに韓国ドラマらしい恋愛やドロドロが入ってきて後半は大風呂敷を閉じるのになかなか苦労した感じになった。ARを小道具にしたサイバーパンクSFミステリとしては、なぜゲーム上で戦ったら死に至るダメージを受けるのかという点と、セジュが一年も姿をくらましていて、その間どうやって生きていたのかという点の2つの最も重要な謎ときの部分が「バグ」の一言で済ませてあって説明不足なのがどうにも気になった。あと最初の方ではヒョンソクだけが危険だった(他のNPCの敵キャラは危険ではなかった)のに、グラナダ再訪のあたりからNPCにやられても危険ということになったのが解せない。

まあそういう細かいことを考えても考えなくても面白いドラマであることは間違いないので見て損はないと思う。ヒロインのヒジュを演じたパク・シネはいかにもな整形美女って感じの韓国人女優さんではなくて好感が持てる。

あと登場人物の乗るクルマがレンタカーも含めてすべてトヨタのレクサス。韓国ドラマなのにヒュンダイじゃないという事にちょっと驚いた。